今回は、墨田区の公立小中学校における「補助教材の共有化」について、私の 考えと取り組みを紹介させていただきます。
■品川区の「学用品無償化」から見える課題とヒント
近年、物価の高騰を受けて、子育て世帯の経済的負担はますます重くなっています。 そうした中、品川区では令和6度より、彫刻刀や絵の具セット、算数セットな どの補助教材を無償配布する取り組みがスタートしました。
こうした試みは一見、保護者支援として非常に評価されるものに映ります。 しかし、現在の学校教育法においては「受益者負担の原則」が定められており、「最終 的に個人の資産となるものに対しては、保護者が費用を負担すべき」と解釈されています。
私は、保護者の負担軽減や子育て支援の取り組みが広がっていくこと自体は、非常 に意義のある流れだと考えつつも、補助教材のように「購入後は個人の所有物となる もの」について、自治体が一律に無償提供することには慎重であるべきだと考えてい ます。
こうした制度の見直しは、本来、国を巻き込んだ形で議論すべきです。
■とはいえ、保護者の負担が増えているのも事実
一方で、墨田区においても保護者の補助教材の負担額がこの8年間で1万円以 上の増となっています。
実際に区民の皆さまからは、 「年に数回しか使わない教材を買うのが負担」「卒業後には全く使わなくなるものに出費する必要があるのか?」 といった率直な声も届いています。
■だからこそ、「共有化」という新たな選択肢を
このような現状をふまえて、私は補助教材を“学校の備品”として共有する仕組みを 提案しました。
「共有化」とは、教材を学校(自治体)の資産として購入し、授業で使うときに 子どもたちに貸し出すという方式です。
これにより、
• 保護者が購入費用を負担する必要がなくなる
• 使用頻度が低い教材でも適正に管理・運用できる
• 持ち運びの負担が軽減される(特に重たい教材)
といった保護者、児童生徒、学校の三方にとってメリットのある制度になります。
■今年度から「彫刻刀」の共有化がスタート
この提案は、本会議および予算特別委員会でも取り上げ、令和7年度からはまず「彫 刻刀」について、学校備品としての共有化する予定です。
現在はさらに、以下の教材についても共有化の検討が進んでいます。
• 絵の具セット
• 書道用具
• 算数セット
• 裁縫セット
■「必要なものを、みんなで使う」新しい教育のかたちへ
これまでの常識だった「学用品は家庭で購入するもの」という考え方を、 「必要な時に、必要なものを、学校でシェアして使う」スタイルに変えていくこと。
これは、無償化の代替ではなく、これからの教育環境にふさわしい、より合理的な選 択肢だと私は考えています。
今後も、子どもたちがのびのびと学べる環境づくり、そして保護者の皆さまの負担軽 減に向けて、地に足のついた提案を続けてまいります。
ぜひ、皆さまのご意見やご感想をお寄せください。